「親子の思い出を作ってほしい」大和証券グループがくれた「体験の場」のプレゼント
2022年5月に創業120周年を迎えた大和証券グループは、「社会への貢献」を企業理念のひとつに掲げ、さまざまな取組みを行っています。とりわけ、日本の未来を担う子どもたちの生活と教育環境を重視し、格差社会によって生まれた子どもの貧困問題の解決に力を入れています。
同社は「体験」のプレゼントに注力し、文京区こども宅食への寄付を度々行ってくださっています。2021年にはコンサート鑑賞、2022年5月と8月には東京ドームで行われたプロ野球観戦に親子を招待し、子どもだけでなく、親御さんも一緒に試合を見る機会を提供。参加者からは「この様な機会がなかったら子どもに体験させてあげられなかったかもしれないので、とてもありがたかった」や「子どもにとってとても貴重な体験をさせてあげることができた」といった喜びの声が続々と寄せられました。
同社が「体験の機会」を提供し続けるのはどのような想いからなのでしょうか。大和証券グループ経営企画部SDGs推進室の黒須仁美様にお伺いしました。
子どもたちが育つ環境をもっと良くしたい
――御社は社員へのボランティア活動の奨励や積極的な寄付を行うなど、地域との関わりや社会貢献に力を入れていらっしゃいます。背景には、どのようなお考えがあるのでしょうか?
弊社はSDGsを始め、子どもの貧困問題解決を目指してスタートした「大和証券グループ 夢に向かって! こどもスマイルプロジェクト」など、さまざまな社会貢献活動を行っています。これには、弊社代表取締役社長の中田が持つ「会社が100年200年続いていくためには、社会に必要とされなくてはならない」との考えが強く影響しています。
中田は以前から個人的に、おもちゃ等を児童養護施設に寄付をしていました。その施設はお子さんが通っていた幼稚園の隣にあり、「自分には何ができるか」を考えた末の行動でした。また中田の奥様やお子様も子どもの支援に強い関心を持っていました。中田は「自分が社長になったら社を挙げて子ども支援に取り組む」と決めていたこともあり、現在弊社が進めていることの多くは中田が社長に就任した2017年から始まっています。
――中田社長のご体験が大きく影響しているのですね!社会貢献の中でも、子どもの貧困問題に真剣に向き合うのはなぜかを教えてください。
現在、日本では少子高齢化が加速していて、人口の約30%を65歳以上の高齢者が占めています。対して、出生数は急速に減少しており、労働力不足や国力減退など先行きが不透明な状況です。このような中、日本の未来を担う子どもたちは、とても大切な存在であることは言うまでもありません。しかし、子どもの7人に1人は相対的貧困にあるといい、一般的な世帯に比べてかなり厳しい経済状況で育っているのです。
貧困は子どもから適切な教育を受ける機会を奪いかねませんし、生きていくために必要な能力を得づらくさせるおそれがあります。そうした現状を目の当たりにし、企業としてどうにかできないかを考え、子どもの貧困問題の解決に向けた行動を取ることにしたのです。
※株式会社大和証券グループ本社 サンタチャリティプログラム活動写真
社員とOBが約1,000万円を募金。クリスマスプレゼントを贈った
――そのような背景で、「こどもスマイルプロジェクト」が始まったのですね!
その通りです!同プロジェクトの活動には、「大和証券グループ 輝く未来へ こども応援基金」と「大和証券グループ未来応援ボンド こども支援団体サステナブル基金」の2つの大きな活動の柱があります。
「こども応援基金」は、子どもが育つ環境の改善や貧困の連鎖防止を目的としています。子どもの未来を応援する団体に対して335万円を上限とした助成金を支給し、ひとりでも多くの子どもたちの暮らしを支えてほしいとの願いを込めています。
もうひとつの「大和証券グループ未来応援ボンド こども支援団体サステナブル基金」は、2020年に流行が始まった新型コロナウイルス感染症の影響で活動に支障を来している団体を支えたいとの思いで生まれました。
同年6月に社債「大和証券グループ未来応援ボンド」を発行し、手取り金から1億250万円を「こども支援団体サステナブル基金」に寄付しました。こちらは350万円を上限として助成金を支給しています。どちらの取組みでも第三者委員を設置して公平な審査を行います。
――社内でも寄付を募るイベントを行っていると伺いました。
はい、毎年10月に「サンタチャリティプログラム」を実施しています。2017年から始まったイベントで、現役社員だけでなくOB・OGから寄付を募っています。その後、クリスマスプレゼントとしてお菓子セットやおもちゃを購入し、全国の児童養護施設や母子生活支援施設、子どもを支援するNPO団体へ贈っています。寄付金額は年々上がっていて、2022年には約1,000万円の寄付が集まりました。
ほかの取組みには、月に一回の「ジーンズ・デイ」があります。新型コロナウイルス感染症流行下の福祉活動や子ども支援団体への援助を目的として、役職員がジーンズで出社して募金活動をするイベントで、寄付を実体験してもらっています。
――実際に寄付をすることで、習慣化につながりそうですね!
はい。寄付はトップダウンで行うものではないので、これらのイベントを通じ、社員が社会貢献を身近に感じられるようになってきたことで、自発的に寄付を行えるようになったと思っています。
コロナ禍で親子が外で何かを一緒に体験する機会が減っている
――こども宅食に寄付をしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
寄付先を探していた際、「こどもサポート証券ネット」の参加NPO団体一覧でフローレンスさんをお見かけし、連絡を入れたことが出会いのきっかけです。当時から野球観戦のチケットを寄付し、親子でプロが繰り広げる一流の試合を見る体験をして欲しいとの気持ちがありましたが、どのようにすればよいかわからず、相談に乗っていただきました。
――当初から野球観戦という「機会提供」を考えていらっしゃったのですね!理由を教えていただきたいです。
お子さんや親御さんが本当に必要としているものを寄付したかったからです。ご家庭が求めているものを提供したい。それが弊社の願いでした。
大阪府が2016年に発表した「大阪府子どもの生活に関する実態調査」では、経済的に苦しいご家庭の親御さんほど「子どもを学習塾に通わせられなかった」や「家族旅行に行けなかった」の回答率が高いことが示されています。ここ数年はどの家庭もコロナ禍で外出をしづらい状況にあり、どこかに出かけて何かを体験する機会が減っていました。弊社では以前から様々なところでサッカー観戦やキッザニアへの職業体験など、機会提供の寄付を行っており、手応えを感じていたこともあります。
――お子さんだけでなく親御さんもプロ野球観戦に参加できたところが素晴らしいと思いました!参加者から寄せられた感想でも、そこが良かったと言う人が多かったです。
そうですよね!お子さんだけ、「世帯あたり○人まで」のように人数制限を設けると、ご家族全員で共通の体験ができません。誰かが行けて、誰かは留守番をしなければいけない。それだと悲しいじゃないですか。
今回はプレゼントする枚数を1世帯2枚に限定せず、お子さんの多くいらっしゃるご家庭も、ご家族一緒にプロ野球の試合を見ていただけるようにしました。親子の思い出づくりになりますし、お子さんが将来に夢や希望を抱くきっかけになったら嬉しいです。
お子さんが何人もいるご家庭では、横並びに座って楽しく観戦をしていただけたのではないかと思います。
必要なサポートを家庭に届けることのメリットは大きい
――こども宅食に寄付をされてみて「良かったと感じたこと」はありますか?こども宅食に感じた魅力もあれば、お伺いしてみたいです。
こども宅食は、食品や日用品の配送をきっかけにご家庭とつながり、適切なサポートをしています。この「支援をご家庭に届ける」点が素晴らしいですよね。行政にも相談窓口や生活・就労支援制度がありますが、何らかの事情でその場へ出向けない、SOSを出せないご家庭は何のサポートも受けられず苦しみ続けなくてはいけません。
また文京区こども宅食からの報告書で、ご家庭からの感想を共有いただき、こども宅食に寄付をしたことで「こんなふうに返ってくる」「反応、成果がある」ことを知ることができて嬉しいです。
子どもに必要なお金が回る仕組みを整えていく
――今後はどのような寄付をしたいと考えていますか?
スポーツ観戦以外には、音楽イベントのような文化的な活動の体験をお子さんにしていただきたいですね。コンサートホールで生演奏を聞くのと、スマホのスピーカー越しに聞くのとでは臨場感が違うじゃないですか。
過去には文京区こども宅食さんへ博物館の観覧チケットの寄付を計画しましたが、新型コロナウイルス感染症が拡がるタイミングで、取りやめざるをえませんでした。今後もこども宅食事務局のみなさんに相談をしながら取り組んでいきます。
すでに「こども応援基金」と「大和証券グループ未来応援ボンド」を創設していますが、子どもたちの成長や教育に必要なお金がしっかりと回るように、バリューチェーンを構築したいと考えています。ただ実現には時間がかかります。その間にも子どもたちの暮らしを支えられるよう、募金活動や寄付の活動も行い、長期、短期双方の視点で社会貢献に向き合っていくつもりです。
writing:薗部雄一
引き続きのご支援をお願いいたします!
こども宅食は、文京区にお住まいの経済的に厳しいご家庭に、食品をお届けすることでつながり、見守り、必要な支援につなげていく取組みです。
皆様のあたたかいご支援をお待ちしております!
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