食品を届けるだけではない。三菱食品がこどもたちに届ける「体験」という支援のかたち

こども宅食事務局

こども宅食事務局が、こども宅食の歩みや、子どもの貧困についてのニュースをお届けします!

2025年に100周年を迎えた三菱食品。加工食品や低温食品、酒類から菓子まで様々な食品の卸売を主な事業内容としています。
同社は「食」を軸に、社会貢献活動にも積極的に取り組んできました。文京区こども宅食には2017年12月から継続して食品の寄付をいただいており、また今回初の取り組みとして、三菱食品が主催する「食品流通を学ぶツアー」に、文京区こども宅食の利用家庭のこどもたちが招待されました。
こうした取り組みの背景や思いについて、三菱食品 広報・ブランディンググループの広川香央梨さんにお話を伺いました。

「食品流通を学ぶツアー」を主催した広報・ブランディンググループの皆さん
(写真左から野原さん、広川さん、山本さん)

三菱食品が進める「こども」と「食」の社会貢献

ーー御社の社会貢献に対する考え方を教えてください。
三菱食品は、2025年3月に、当社の母体である「株式会社菱食」の前身企業「株式会社北洋商会」の設立から100周年を迎えました。2011年の4社による会社統合以前は、それぞれの企業が独自に社会貢献を行っていましたが、統合を機に、どの分野で社会に貢献していくのかを整理し、「こども」と「食」を中心に支援していく方針が定まりました。

ーー文京区こども宅食への寄付は、どのようなきっかけで始まったのですか。
初めて文京区こども宅食を知ったのは、2017年頃だったかと思います。支援を必要としているご家庭に寄付をした食品がしっかりと届く仕組みが整っており、安心して関わることのできる活動だと感じたのがきっかけです。
食品を扱う企業として、商品を流通させるだけでなく、食を通じて人々の暮らしにどのように関わっていけるかは重要なテーマです。経済的に厳しいご家庭では、購入できる食品が限られ、栄養バランスや食の楽しみが後回しになってしまうこともあります。そうしたご家庭に対し、少しでも食の豊かさや楽しさを届けたいという思いが強くありました。

文京区こども宅食への寄付と、フルーツ缶詰に込めた思い

ーー文京区こども宅食への寄付を継続されている理由を教えてください。
支援を必要とするご家庭に、食品が確実に届いていると感じられることが大きいです。利用者さんから寄せられる声を通じて、こどもたちが喜ぶ様子が伝わってくるのも嬉しいですね。

ーーフルーツ缶詰を選んだ理由を教えてください。
経済的に余裕がなくなると、お米やお肉といった食材を優先して購入し、フルーツなどは後回しになりやすいものです。一方で、フルーツは食卓に彩りを添え、気持ちを明るくしてくれる存在でもあります。その分、届いたときの喜びも大きいのではないかと感じています。
加えて、フルーツ缶詰は長期保存ができ、手軽に楽しめる食品です。日常の中で、少しでも明るい気持ちになっていただければという思いから、寄付を続けています。
また、自社商品であるため継続して安定的に届けられるという点も、フルーツ缶詰を選んだ理由のひとつです。

ご寄付いただいているフルーツ缶詰

ーーご家庭から寄せられた感想を見て、どう感じられますか。
こどもたちからの手紙を通じて、「しっかりと食べてもらえている」と実感できて、嬉しいです。パイナップル缶を一口サイズに切って冷凍しアイス感覚で食べたり、クレープやフルーツサンドを作ったりと、さまざまな形で楽しんでいただいている様子が伝わってきます。こうした声は大きな励みになりますし、寄付を継続していこうという気持ちにつながります。

▼お届けしたフルーツ缶詰への感想

※上記は、三菱食品さんをはじめとする様々な企業・団体さんから寄付された食品や日用品への感想です

食品寄付から広がった「食品流通を学ぶツアー」への招待

ーー食品流通を学ぶツアーを始めた経緯を教えてください。
当社は2014年度から、食品流通を学ぶツアーをスタートしました。当時のCSR基本方針に則った活動の一貫として始まった取り組みです。
開催の背景にあったのが、「食品卸」という仕事が、メーカーや小売に比べて一般の方に知られる機会が少ないという課題意識でした。また、将来を担う子どもたちに、学校教育ではなかなか学ぶ機会の少ない「食品流通の役割」や「食が届くまでの仕組み」を、体験を通じて知ってもらいたかったからです。
食品がどのように作られ、運ばれ、店頭に並ぶのか。メーカー工場や物流センター、リサイクル施設などを実際に見学することで、食への理解や、食品ロスを含めた食資源について考えるきっかけになればとも考えていました。

物流センターにてフォークリフトの使い方を学んでいる様子

ーー実際にどのように立ち上げていったのでしょうか。
初めての取り組みのためどの年代を対象とすればいいかも、集客の仕方もわからず手さぐり状態でした。
試行錯誤した結果、初回は東日本大震災の被災児童を対象に、1泊2日でメーカー工場や物流センター、リサイクル工場を見学するツアーとして開催しました。
その後は、コロナ禍で実施を見送った年もありましたが、対象者や訪問先を変えながら、毎年度継続して実施しています。

ーー2026年の開催で、文京区こども宅食の利用家庭を対象にしたのはなぜでしょうか。
2020年に本社を文京区へ移転したこともあり、地域に根ざした形で、こどもたちに新たな支援ができないかいう思いが強まり、今回、継続的に連携している文京区こども宅食の利用家庭のこどもたちを招待しました。

このような取り組みをきっかけに、支援の輪が広がり、「自分たちにもできることがあるかもしれない」と企業や団体が連携して行う地域貢献活動のきっかけに繋がればと思っています。また、社内でも社員同士の会話などを通じて社会貢献活動そのものへの関心が少しずつ広がっていけば嬉しいとも感じています。
そして、参加してくれたこどもたちの記憶に、このツアーの体験が少しでも残ってくれたら嬉しいです。

ーーツアーの内容について教えてください。
ツアーでは、メーカーの工場や物流センターの見学を通じて、食品の流通を学べる内容としました。加えて、マヨネーズ作りや物流器具を実際に動かす体験型プログラムも取り入れ、楽しみながら学べる構成にしています。また、あまった食品のリサイクル工程にも触れ、食と環境のつながりについて考える機会も設けました。

マヨテラス(見学施設)にてマヨネーズの原料について学んでいる様子

ーー当日のこどもたちの様子で印象に残っていることはありますか。
小学生ということもあり、とても元気な様子が印象的でした。普段は見えない食品の裏側を知ることで、食べ物が多くの人の手を経て届いていることに気づいたという声もありました。帰宅後に家族へ体験を話してくれたお子さんもいたようで、ご家庭での会話のきっかけにもなっているようです。

ツアーに参加したこどもたちからは「とても楽しかった」という声が多く寄せられました。普段なかなかできない体験に触れられたことが、大きな満足感につながったと感じますね。食べ残しや期限切れの食品がどのように処理されるのかといった、いわゆる食品ロスの実態については、多くのこどもたちが「初めて知った」と答えています。
保護者の方からは、「学んだことをクイズ形式で話してくれた」「応募してくれてありがとうと感謝された」のほか、「こどもがいつもと違う体験を楽しめたことがうれしい」「春休みのよい思い出になった」といった声が寄せられました。

特に嬉しかったのは、こどもたちが「食べ物は、作る人、届ける人、売る人など、いろいろな人が関わって自分たちのもとに届いている」と実感してくれたことです。普段は当たり前に食べているものが、多くの人の手を経て届いていることを知ることで、食べ物を大切にする気持ちや、食品ロスについて考えるきっかけにもなったのではないかと思います。

まずはできることから。社員参加で広がる社会貢献

ーー社内でのボランティア活動について教えてください。
当社には、社内での社会貢献活動の浸透に向けた「1ボラ=1Smile」という取り組みがあります。年に一度は社会貢献活動に参加しようという考え方で、一つのボランティアが一つの笑顔につながるという意味を込めています。より多くの社員が参加できるよう、お昼休みを使って行うボランティア活動の開催や、社員やその家族が一緒に参加できるチャリティーウォークイベントへの呼びかけなども行っています。

ーー最後に、寄付などの社会貢献活動を検討している企業へメッセージをお願いします。
各企業が持つ強みを活かすことで、こどもたちに届けられる価値はさらに広がります。最初から大きな取り組みをと考えず、できることから関わることで、支援の輪は確実に広がっていくと思います。
弊社も引き続き、何ができるかを考え、支援を継続していきたいと思っています。

writing:薗部雄一

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