児童虐待防止推進月間に「親子の孤独・孤立」を考える
~文京区こども宅食にできること~
11月は厚生労働省が定めた「児童虐待防止推進月間」です。
厚生労働省が発表した2022年度の児童相談所における虐待相談対応件数は、年間で約21万5000件。件数は年々増加の一途を辿っており、2022年度は過去最多の数字を更新しました。虐待の末に幼い命が失われるなど、悲しい事件が起こるたびに心を痛める方は多いと思います。
虐待が起こる社会構造
子どもに対する虐待は、決して許されるものではありません。
しかしその背景には、経済的困窮、障害、病気、子の不登校など様々な課題が存在し、それらが複数重なっていることもあります。またそういった課題を抱えている家庭ほど、支援を受けることに心理的・社会的障壁が存在し、孤独・孤立に陥りやすい傾向にあります。
実際、困難を抱えるご家庭の8割が支援サービスを利用しておらず(※)、家庭に支援が届きにくいことがわかっています。困っていても「助けて」が言えずに孤独・孤立状態となり、課題を解決できないまま抱え続けると、状況が悪化し虐待のリスクが高まる可能性があります。
児童虐待は親だけの責任にせず、社会全体で親子を見守っていくことが必要です。
※新型コロナウイルスの影響に関するアンケート(2020年5月)より/一般社団法人こども宅食応援団、認定NPO法人フローレンス
親子の孤独・孤立を防ぎ、見守り、支える「こども宅食」
そこで親子の孤独・孤立を防ぐために始まった取り組みが、「こども宅食」です。こども宅食は全国で初めて、東京都文京区で始まりました。文京区こども宅食では文京区内の経済的に厳しい子育て世帯に2ヶ月に1回、食品や日用品を届けています。
東京都の中心に位置する文京区は裕福な家庭が多いイメージがあるかもしれません。しかし実際には、児童扶養手当を約500人が受給し、就学援助を約1,100人が受けており、文京区こども宅食も約800世帯の親子が利用しています。
支援のハードルを下げるための工夫
こども宅食には、利用者の支援を受けるハードルを下げる様々な工夫があります。
まず、利用申込みがLINEで簡単にできるので、時間がなくても、スマホでいつでもどこからでも申し込むことができます。窓口に行く必要もないので、自分が困っていることが周囲に知られることはありません。
また、こども宅食は「アウトリーチ型」の支援であることが大きな特徴です。これまでの「待っている支援」ではなく、こちらから困っている人の元に出向く出前型の支援です。食品や日用品をご自宅まで届けることで、利用者の物理的な負担や精神的な負担を減らします。
届けたいのは、つながりと安心
この活動は、食品の提供だけの取り組みではありません。配送時には、お届け物の説明などをしながら親御さんやお子さんとの雑談を通じて、ご家庭の様子を見守ります。
初めて会った人に突然困りごとを吐露することはなかなか難しいことです。食品の配送をきっかけにしてご家庭との接点を持ちやすくし、継続的なつながりを持つことが、ささいなことでも話しやすい関係性を作ることにつながります。
また配送のない時期でもLINEによる情報提供やメッセージのやり取りを行うことで、いつでも気軽に話しかけられる関係を作れるようにしています。
文京区こども宅食は、日頃から親子を見守りながらご家庭の変化に気づき、適切な支援につなげる取り組みです。
実際に文京区こども宅食を利用したご家庭からは、たくさんの嬉しいお声をいただいています。
子どもが生まれてからほとんどの期間こども宅食にお世話になり、我が家の食卓をいつも支えてくださいました。また、食事の面だけでなく、奨学金や助成金の情報も、その時は当てはまらなくとも、「あぁ、こんなにも手を差し伸べてくれる場所があるんだ」といつも心の支えになっていました。
文京区に住んでいてよかったと思えることはたくさんありましたが、1番強く感じたのはこども宅食があったことかもしれません。
精神的にも肉体的にも金銭的にも厳しく、また想像できなかった困難もあり、私自身いっぱいいっぱいでした。こども宅食の定期的なサポートに励まされ、半年後にはこうなっていよう、その次の半年後にはこうなっていよう、と生活を送る事が出来ました。感謝ばかりです。これからは少しずつふるさと納税でこども宅食にお返しするのが目標です。
こども宅食は、いつでも相談できるつながりと、「見守ってくれている」という安心感を親子に届けているのです。
あなたの寄付が、800世帯の親子の明日につながる
文京区こども宅食は、今年で8年目を迎えました。事業開始当初は150世帯への配送からスタート。そこから配送世帯数は年々増加し、2023年度は約800世帯、開始当初の5倍以上の子育て家庭に配送を行いました。
文京区こども宅食の活動は、活動を応援してくださる皆さんからのご寄付(ふるさと納税によるガバメントクラウドファンディング)で成り立っています。
文京区こども宅食のガバメントクラウドファンディングには返礼品がないため、いただいたご寄付のすべてが事業に活用されます。
2024年は7,146万円を目標にクラウドファンディングを行っていますが、まだまだ目標金額達成には遠い状況です。
これからも800世帯の親子を見守り、支援し続けていくためには、皆さんの応援が不可欠です。一度支援につながった親子をこれからも支えていくために、ぜひ寄付でのご支援をお願いいたします!
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