大手銀行やキャリコンを経て、非営利の世界で「こども宅食」に取り組むスタッフの想いとは?

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2019.10.10

Akari Masuda
増田 朱里
NPO Florence

NPO法人フローレンスでこども宅食のカスタマーサクセスを担当しています。

こんにちは!

新卒でフローレンスに入社し、こども宅食事業を担当している増田です。

「貧困による困難状況が見えにくく、支援が届きにくい」という社会問題を解決すべく、多くの方々と協働しながら、この事業に取り組んでおり、日々やりがいを感じています。

現在文京区では、自治体、企業、NPO団体など計7団体が協働して、こども宅食事業を運営しています。

こども宅食事業に携わってる人々がどのような想いを持ち、どのような業務を行っているのか気になりませんか?

そこで今回、利用者さんに食品をお届けするためのロジスティクスの管理を行う、キッズドアで働く塚本さんにインタビューをしてきました!

(左:フローレンス増田、右:キッズドア塚本さん)

「経済的に厳しいご家庭の支援がしたい」ずっと変わらない想い

ーーなぜこども宅食事業に携わろうと思ったのですか?

高校時代にアメリカに留学していて、その時のホストファミリーが、経済的に厳しいご家庭で、そのホストファミリーに受け入れてもらった経験から、いつか経済的に厳しいご家庭の支援をしたい」と思うようになりました。

学生時代に自分がどのように携われるか模索している中で、マイクロファイナンス(※貧しい人々向けに小口の融資や貯蓄などの金融サービスを提供すること)という考え方に出会い、金融という視点から関わることができるのではないかと思い、大手の銀行に就職しました。でも、実際に入ってみると、支援のようなテーマで金融機関として関わるのは難しいと感じました。

そこで、キャリアコンサルタントとして比較的年収の低い方が、より生き生きと働けるように転職のサポートをしたいと思い、人材紹介の会社に転職しました。入社後キャリアコンサルタントとしての経験を積んだ後、希望の部署に異動してハローワークのような公的機関で経済的に厳しい方の就職支援がしたかったものの、別の大型プロジェクトにアサインされて悩んでいました。そのときに、テレビでこども宅食の特集がされているのを見て、「これだ!」とピンときて、転職を決意しました。

本当に必要な家庭に、必要なサービスを届けることができる

ーーどのような業務をされているのですか?

主に食品の物流に関して、2つの業務を実施しています。

1つ目は、配送計画を立てることです。

最終的にいつ利用者さんにお届けするのかを、ココネットさん(※こども宅食事業の配送を担当している運送会社さん)の予定に合わせて設定をして、そこから逆算して、いつ梱包してもらうのか、企業にいつ食品を納品してもらうのか、細かなスケジュールを立てて、それぞれの関係団体に、連絡・展開しています。

2つ目は、配達する食品パッケージの内容調整を行っています。

企業さんから寄付して頂く食品の内容には偏りがあります。例えば、お菓子はよく寄付して頂けますが、主食になる加工食品などは、集まりにくい傾向にあります。そうした傾向を踏まえて、毎回の食品内容のバランスを調整しています。

また、利用者さんに対して、内容についての満足度アンケートを実施したり、配送に関する利用者さんからの問い合わせなど、ご利用家庭との直接的なコミュニケーションも担当しています。

利用者さんに喜んでもらえるこども宅食を作りたい

ーー実際に携わってみて、どのようなところがこども宅食の魅力だと思いますか?

文京区さんと連携しているからこそ、児童扶養手当や、就学援助を受け取っているご家庭に対して、ピンポイントでアプローチできることは、とても大きな強みだと思います。

本当に必要な家庭に、必要なサービスを届けられていると思います。

利用者さんのニーズに合わせてサービスを提供できている点も、こども宅食事業ならではの魅力の一つだと思います。窓口に行かずにLINEで気軽に申し込みができたり、直接配達してもらうことで、気軽にサービスを利用できたり、利用者さんに寄り添ったサ-ビスを設計している思います。

また、全国に展開することを視野に入れた、パイロットプロジェクトであることも、大きな魅力ですね。一角だけの小さな活動ではなく、広がりのある活動であることもわくわくします。

また、こども宅食事業の特徴である、自治体や企業、様々な団体が協働していることも、新しいコラボレーションの仕組みに関わるおもしろさがあるとも感じています

ーー業務をする上で、心がけていることはなんですか?

一番は、利用者さんに喜んでもらえるこども宅食を作ることを大切にしています。

また、関係団体が多くいるので、こども宅食事業に関わってくださっている企業さんや団体さんが無理のないように対応できるよう、できる限り早め早めに調整を進めています。

様々な人の温かな想いが詰め込まれているこども宅食

ーー働くやりがいを教えてください

メールや配送時のコミュニケーションを通じて、利用者さんの声を聞けると、とても励みになりますね。

例えば、「中々お菓子が買えなかったけど、こども宅食のおかげてお菓子をいただけて、子どもの友だちを家に呼べました」という声を頂いたことがあり、お菓子一つが子どもと親御さんの笑顔につながったのだと思うと、とてもやりがいを感じました。

また、自分が工夫したことが利用者さんに伝わったと実感できるのも嬉しいです。

昨年12月の配送の際に、クリスマスの雰囲気を出して喜んでもらおうと思い、いつも無地の袋にしている配送のパッケージをサンタの柄の袋のものに変えたら、「子どもが喜んでいた」という声や「配慮が嬉しかった」という声をいただけて、自分の想いが利用者さんに届いたことを実感できて、とても嬉しくなりました。

また、企業さんへの感謝の気持ちを伝えて下さる方も多くいます。寄付をしてくださっている企業さんも想いを持たれている方が多くいて、お子さんにお届けできるものを増やすために、とても尽力してくださっています。その想いを利用者さんが理解してくださっていることも、とても嬉しいですね。

食品がただ届くだけじゃなくて、その裏で様々なひとたちがいろんな想いを持って、自分たちのことを応援してくれているのだということを利用者さん自身も感じてくれていることは本当に嬉しいです。

様々な人の温かな想いが詰め込まれているこども宅食は、とても素敵だなと感じます。

ーー外部の人々と働く楽しさはなんですか?

背景や経験が違うメンバーと一緒に事業を進めていくのは、楽しいですし、学ぶことはとても多いですね。

こども宅食事業に携わっている方々は、とても優秀で想いがある方が多いと思います。それぞれ背景や経験が違う分、強みを活かしながら、お互いを補完し合える関係性で、心強く感じます。

また、課題が出た際には、みんなで解決しようとする姿勢があり、雰囲気の良さを感じます。みんなで協力し合って、こども宅食事業をよりより良くしようとしています。

* * *

「経済的に厳しいご家庭の支援をしたい」という想いをずっと持ち続け、現在こども宅食事業に携わっている塚本さんの信念の強さや想いを感じました。

また、利用者さんや関係団体のみなさん、全ての方々に対して、日々細やかな気配りをされて、利用者さんに喜ばれるこども宅食を届けるために尽力されているのだと思いました。

こども宅食事業は、キッズドア塚本さんをはじめ、そんな温かな優しさと熱い想いを持って携わっているスタッフが多くいます。

これからも多くの方々と協働しながら親子の笑顔を実現していくために事業を進めていきますので、応援よろしくお願いいたします。

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