「こども宅食」を届けるココネットは、”買い物弱者を救いたい”という想いから生まれた
「こども宅食」をしっかりと届けられるよう、食品の仕分けや、発送までの流れなどを確認するためのテストを9月中旬に行いました。
作業場は、文京区のシビックセンター。その現場に、「こども宅食」の配送を担当するココネットの河合社長が現れました(冷たい飲み物の差し入れと共に!)。
到着後、すぐに作業着に着替え、ボランティアのスタッフと肩を並べ、黙々と作業をする河合社長。
聞くと、今日のテスト配送では、河合社長自ら、車のハンドルを握るとのこと。
「新しいことを始める時は、社長自ら現場に来るんですか?」と伺うと、「ガンガン入ります。入らないと気がすまないんですよね」とにこやかに言います。
そんな河合社長に、なぜ「こども宅食」に参加したのか、その理由を聞きました。そこには、買い物弱者を救いたいという想い、そして、慈善ではなくビジネスとして継続させていく、というこだわりがありました。
「こども宅食」は、ライフライン。持続させることが重要。
― 早速ですが、「こども宅食」への協力を決めた理由を教えて下さい。
河合:最初にお話を頂いた時、正直な所、配送するだけなら、他社さんでもいいんじゃないかな?と思ったんですね(笑)。しかし、よくよく聞いてみると、ココネットが強みとしている配送の設計や、「見守り」の要素が肝じゃないかと思いました。これはきっとお役に立てる、と感じました。
― そうだったんですね!参加されることに、躊躇はされませんでしたか?
河合:しっかりと、メリットを見出した上で参加しました。ひとつ目は、地域に入り込みやすくなること。「こども宅食」に協力することで、地域に入り込んで、サービスを展開しやすくなります。例えば、いきなり「買い物代行します!」といっても、信頼は得られませんよね。
もう一つは、採用の面です。配達をするスタッフの中にも、子育て中のお母さんも多いんです。将来的に「こども宅食」の利用者のお母さん方が、ココネットで活躍してもらえたら、という期待もあります。
そして、「こども宅食は」、ライフラインとして継続し続けることが重要です。CSRや、ボランティアとしての協力だと、続けられなくなってしまうこともあります。だから、ビジネスとして成り立つ設計をした上で、専門性を提供しています。
― 食品の仕分けの際にもアドバイスを頂き、プロの技を実感しました!
河合:ありがとうございます。今回は、様々な企業やNPOが参加されていますよね。私たちは配送や仕分けの所でしか貢献出来ませんが、それぞれが強みを持ち寄って「餅は餅屋」でやる、というのは正しいと思います。
“買い物弱者救済”から始まった「ハーティスト」
― 今回、食品を届けていただくのは、「ハーティスト」と呼ばれる女性を中心とした配送スタッフです。なぜ、このような取り組みをはじめたのですか?
河合:まず、ビジネス上の観点です。これまで運送業界は、男性の個人事業主がメインでした。しかし、活躍していた人達がどんどん高齢化していって、担い手が少なくなっていました。
そして、買い物弱者対策という観点では、私たちのような男性が伺うのではなく、女性が伺った方が安心して心を開いて頂けるんですよね。
もともと、ココネットの創業には、私の個人的な体験が、大きく影響しています。
実家の2km圏内に、祖父母の家があります。私の祖父がスーパーへ買い物に行った後、自転車で転倒し、その後不自由な生活になってしまったんです。
当時の私は、麻雀とバスケに明け暮れているような大学生で、暇を持て余していました。しかし、じいちゃんからすると、孫である私に「水を買ってきて」とか頼むのは、「忙しいだろうから」とか色々考えてしまって、頼みにくかったようでした。
「仕事として、気軽に何かを頼める“近くにいる他人”がいればいいのではないか……」そのことが、社会人になっても、ずっと心に引っかかっていました。
― ココネットは、お祖父様を傍らで見ていた、歯がゆい経験から産まれたのですね。
河合:はい、ある日社内を見渡した時に思い立ち、「買い物代行」と配送を組み合わせたサービスを展開するココネット(“コ”ミュティ・“コ”ンシェルジュ・“ネット”ワーク“ = 近くにいる他人)を創業しました。
こんな風に、”近くにいる他人”を、増やしていきたいんです。ようやく、全国に浸透し始めてきましたが、まだまだ。もっと広げていかななくては、と思っています。
インタビューはここまでです。
今回、「こども宅食」をお届けするまでの最終工程、”ラストワンマイル”を、熱い想いを持った河合社長が率いるココネットさんが引き受けてくれました。
実際にテスト配送のなかで「ハーティスト」の方が玄関口で食品をお渡しする様子を見ましたが、実に自然にコミュニケーションをとりながら、関係を築いていました。家族の孤立が進む社会で、”近くの他人”の可能性の大きさを、心から実感しました。
色々な方の想いをのせて、利用を希望されているご家庭に、しっかりと「こども宅食」を届けていきます。