生産者も利用者も笑顔に!島根県津和野町がこども宅食にお米を寄付した想いとは

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2020.12.23

こども宅食事務局

こども宅食事務局が、こども宅食の歩みや、子どもの貧困についてのニュースをお届けします!

島根県にある津和野町をご存知ですか?
山陰の小京都として知られていて、城下町時代の名残がある美しい町並みが魅力です。

今年10月、津和野町から「文京区こども宅食」にお米をご寄付いただきました。
文豪・森鷗外をゆかりに文化振興や災害応援に関する協定を締結している、文京区と津和野町がタッグを組み、実現した今回のプロジェクト。
自治体同士が連携し、クラウドファンディングを活用する新しい取り組みでした。
今回は、津和野町の佐伯様、坂和様にこのプロジェクトの背景やこめられた想いについてインタビューしました。

佐伯晃(さいき あきら)

津和野町役場つわの暮らし推進課 主任主事 ふるさと納税担当

8年間津和野町農林課に所属し、地産地消の推進やUIターンの受け入れに尽力。2020年より現職となり、津和野町のふるさと納税制度を支えています。

 

坂和 貴之(さかわ たかゆき)

津和野町役場 地域おこし企業人((株)FoundingBase)

2020年より津和野町役場へ地域おこし企業人として従事。ほか、地域商社まるごと津和野を運営し、ふるさと納税の企画からサポートしています。

 

ーこども宅食へのご支援に至った想いについてお聞かせください。

佐伯さん:津和野町では2008年からふるさと納税制度が始まりました。制度を活用した町財政の収入源の確保、また返礼品を通じた町の魅力発信を目的に推進しています。
町としてふるさと納税をより積極的に活用していこうと動いていく中で、様々な交流のある文京区さんと今回のプロジェクトを開始しました。
「都市部の貧困問題解消×津和野町の米作りを支援」という目標を掲げ、クラウドファンディングによって支援を募りました。これは津和野町にとって大きなチャレンジでしたね。

津和野町で生産したおいしいお米を経済的に厳しいご家庭の子どもたちに届けるだけでなく、米作りにおいて膨大なコストとなる土作りを支援することで津和野町の農家もサポートする。そしてご支援いただいた方には返礼品としてお米を届けることで津和野町を知っていただける。みんながうれしくなる取り組みでした。

 

ー素敵な取り組みですね。自治体同志が連携し、問題解決に向けたクラウドファンディングに挑戦することは新しい事例ですよね。なにかきっかけはあるのでしょうか。

佐伯さん:津和野町で生まれた文豪・森鷗外は文京区で生涯を終えました。そのような繋がりから、文京区と津和野町は様々な場面での相互応援、協力、連携のための協定を結んでいます。文京区には「Tuwano T-SPACE(津和野町東京事務所)」(http://tsuwano-tokyo.net/aboutus/)を置き情報発信をするなど、共同で様々な活動をしているんです。

坂和さん:そのような取り組みのひとつとして、2018年より子どもたちの交流事業(http://tsmoyo.jp/post-6294)を行っています。夏休みに文京区の小学生が津和野町を訪れ、地元の小学生と2泊3日のキャンプをするのですが、交流事業をもう一歩発展させたかったのです。
互いの地域が持つ課題解決に向けたアクションを取りたいと考えていました。そこで文京区が取り組むこども宅食と津和野町が持つお米の資源を掛け合わせたいと思いお声掛けしました。

 

ー津和野町では、今回の事例に限らず様々な取り組みをされていると伺いました。過去にはどのような取り組みをされていましたか?

佐伯さん:そうですね、津和野町では一般のふるさと納税以外にガバメントクラウドファンディングにも力を入れています。目的は町内唯一の高校、津和野高校の教育支援です。津和野高校は県外の都市部から国内留学という形で生徒が集まっており、多様な学びの場を作る独自の活動もしているので注目されています。津和野町の学びの場を守ること、独自の教育支援の持続化のためにガバメントクラウドファンディングを活用しました。

津和野町では、農業など地域産業の活性化以外にも教育関連にも力を入れています。今後は高校生だけでなく、0歳児から小学生、中学生の支援にも視野を広げふるさと納税を活用したいです。

 

ー幅広い取り組みをされているんですね。今回のプロジェクト以前から「こども宅食」という活動はご存知でしたか?

佐伯さん:正直、今回の取り組みを始めるまでは知りませんでした。

 

ー活動内容についてどのような印象を持たれましたか?

佐伯さん:都市部と地方都市での環境の違いを痛感しました。津和野町にもひとり親世帯や共働き世帯はたくさんいらっしゃるのですが、近くに祖父母が住んでいて食事の面での困りごとは少ない印象です。しかし、都市部は核家族が多いなどの理由からこのような課題を抱えているのかなと感じました。そういった家族環境の違いを痛感した次第です。

 

ーいま、社会が抱えている様々な課題についてどのようにお考えですか?

佐伯さん:そうですね。津和野町は人口減少が著しい地域です。移住や定住など、都市部から人を呼ぶ活動もしておりますがなかなか問題解決とまでは至っておりません。移住とまではいかなくても、津和野町を知ってくださる人を増やしていきたいです。旅行で訪れていただいたり、お米を買っていただいたり、ふるさと納税なども含め繋がりを持てるような取り組みが必要だと考えています。

一方で、先ほども申した通り都心部では核家族や孤立した家庭も多く、見えない貧困問題もあります。都心には都心の、地方には地方の課題があると思います。今回のプロジェクトのようにお互い作用しあって、それぞれの地域の問題ではなく日本の問題という意識で行動していけたらいいですよね。そのためにも、今取り組んでいる子どもたちの交流事業が互いを見つめ直すきっかけへと発展できるといいなと思っています。

 

ー交流事業はとても良い取り組みですよね。子ども時代に広い視野で物事を考える機会があるとすごく良い経験になると思います。今後はどのようにこども宅食と関わりを持ちたいですか?

坂和さん:今回はお米を支援させていただきましたが、本当は野菜などもお届けしたかったんです。生鮮食品は賞味期限などの問題で難しいとのことでしたので、今後は賞味期限の長いものも含めて連携したいと思っています。また、農家さんだけではなく、津和野町の企業さんにも賛同していただけるような取り組みにしたいですね。こうやって自治体が動くことで日本の課題という意識になりやすいと思います。

ーありがとうございます、ぜひ今後とも連携していけたらと思います。今回のこども宅食プロジェクトについて、津和野町でお米作りをされている農家の方からなにか反響はありましたか?
坂和さん:はい。今回、寄付させていただいた「ヘルシー元氣米」というお米は有機栽培に近い方法で、農薬を減らして作っています。そのため、通常よりも時間や手間がかかっていているんです。安心・安全にこだわって作ったお米が、顔が見えるかたちで都市部の子どもたちに届くことは努力が報われるようでとてもうれしいと仰っていました。「ヘルシー元氣米」はこれまで20年近くの生産実績があります。今回のプロジェクトでスポットを当てられたことも「ありがたい、今までやってきて良かった」と喜んでくれています。生産者の方々にも、文京区が抱える課題について理解していただき生産意欲が高まったのも成果ですね。

 

ー生産者の方たちも喜んでいただいているのは、私たちもとても光栄です。利用者さんからも「お米が本当にありがたい」と喜んでいただいているので、お互いが良く作用し合ったプロジェクトになったと感じます。津和野町の佐伯様、坂和様、貴重なお話をありがとうございました。

都市部の困窮者支援だけでなく、地方の生産支援や認知にも繋がり、お互いの課題解決になる取り組みとなりました。

初回のプロジェクトでは、目標の2倍近い寄付を集め、10月から5回にわたり文京区こども宅食の利用者さんへ「元氣米」が届くことになりました。この12月からは津和野町の第2弾のクラウドファンディングもスタートしております。
貧困家庭を救う「こども宅食」と日本の「米作り」を同時に応援しよう!

writing:秋音ゆう

 

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