寄付企業・団体向け2022年度「文京区こども宅食」事業報告会を実施しました    <①事業報告編>

こども宅食事務局

こども宅食事務局が、こども宅食の歩みや、子どもの貧困についてのニュースをお届けします!

文京区「こども宅食」は、文京区にお住まいの経済的に厳しいご家庭に、2ヶ月に1回食品などのお届けをきっかけに、ゆるやかにつながり、見守り、必要な支援につなげていく事業です。

こども宅食でお届けしている食品や日用品は、ほとんどが企業や団体からのご寄付でいただいたものです。また、定期配送品の他にも、企業や団体の皆さんのご協力により、スポーツ観戦やコンサートのチケット、絵本やぬいぐるみのプレゼントなど、「体験の機会」もお届けしています。

様々な形でこども宅食の活動を支えてくださっている寄付企業や団体の皆さんに感謝の気持を込めて、2022年度末、オンラインで事業報告会を開催しました。

今回の記事では、まずは前半の事業報告の様子をお伝えしてまいります!

事業報告会について

文京区「こども宅食」は、文京区と6つの民間団体が組織の壁を越えて強みを出し合い、運営しています。

コンソーシアムの7団体と役割・村上財団   ・・・ファンドレイジング
・RCF  ・・・企業との連携
・認定NPO法人キッズドア  ・・・物流管理
・認定NPO法人日本ファンドレイジング協会  ・・・社会的インパクト評価
・文京区  ・・・ふるさと納税受付・申し込み案内
・認定NPO法人フローレンス   ・・・全体企画・広報・寄付調達
セイノーホールディングス株式会社(ココネット)  ・・・食品配送

事業報告会の前半では、運営するコンソーシアムの組織がそれぞれの立場からご挨拶やご報告を行いました。

事業報告会の流れ・文京区長成澤廣修からのご挨拶
・記念撮影@ZOOM上
・2022年度「こども宅食」事業報告(認定NPO法人フローレンス会長 駒崎弘樹)
・文京区こども宅食プロジェクトにおける社会的インパクト・マネジメントの取り組み(認定NPO法人日本ファンドレイジング協会常務理事 鴨崎貴泰)
・6年間を振り返って・質疑応答
・感謝状贈呈(認定NPO法人キッズドア代表理事 渡辺由美子)
・ご支援企業からのご挨拶
・閉会のご挨拶

今回の記事では感謝状贈呈までをご紹介し、ご支援企業や団体のみなさんからのご挨拶は、後半の記事<②ご支援企業・団体編>でお伝えします。

文京区長からのご挨拶

まず始めに、活動資金となるふるさと納税の受付と、こども宅食の申込案内を担当する文京区長 成澤 廣修からご挨拶をさせていただきました。

こども宅食は、区内にいらっしゃる課題を抱えたご家庭に対し、食品をお届けすることをきっかけとして様々な連携をはかり、継続的な支援を目的とした事業です。

コロナ禍にあって厳しい状況に置かれたご家庭の皆さんにさらなる支援をということで、臨時便や冷凍便、体験機会など、いろいろな取り組みをおこなってきました。ご協力いただいている皆さんからの物品や機会の寄附がなければこの事業を進めていく事はできません。文京区の子どもたちに対してのご支援に改めて心から感謝を申し上げます。

一方で、この事業はコレクティブインパクト方式で各団体が主体性をもってコンソーシアムを形成し、それぞれの役割を果たすことによって目的を達成しようという事業です。このコンソーシアムの運営は文京区に対するふるさと納税を原資としていますが、残念ながらこの2022年度は、目標額を達成することができませんでした。コロナ禍、物価高、原油高と、家計を直撃している様々な影響かとも思いますが、そちらについても頑張っていきたいと思っています。

文京区では、中学受験をする家庭が非常に多い状況にございます。このこども宅食での営みから、その中で取りこぼされてしまうご家庭が出ないようにという新たな気づきを得ました。国でも議論が行われておりますが、少なくとも文京区においては、高校生世代への支援をしっかり行おうという決定をしました。

こういった取り組みも、こども宅食の活動あってこそでございます。

引き続き我々に気付きの機会を与えていただくためにも、皆さんのご支援をお願い申し上げたいと思います。

 

2022年度「こども宅食」事業報告(認定NPO法人フローレンス会長 駒崎弘樹)

次に、文京区こども宅食の全体企画と広報・ファンドレイズ・利用者対応を担当する、認定NPO法人フローレンスの会長 駒崎 弘樹より2022年度「こども宅食」事業報告をいたしました。

今年度、文京区こども宅食は6年目を迎えました。
単なる食品支援ではなく、定期配送をきっかけに、つながりをつくって子育て家庭に伴走していくという事業として、2017年に文京区で全国初のこども宅食を始めました。
その背景には相対的貧困状態があります。相対的貧困状態の親子は、衣食住以上のことが十分にできず、子ども同士の間で機会の格差がうまれてしまうことがしばしばあります。

行政機関でも多くの支援や制度が用意されていますが、そもそも平日の昼間に窓口に行く余裕がないとか、支援を受けていることを周りに知られたら困るというような心理など、様々な事情で支援にたどり着けない方がいらっしゃいます。待っているだけではなく、こちらから食品のお届けという接点を持って支援を届けていくのが、こども宅食です。

文京区のこども宅食は、少しずつ対象を拡大してきました。2017年10月に始めた当初は150世帯だったんですが、今は700世帯近いご家庭に支援をお届けしています。2ヶ月に1回の配送の他にも、キャンペーンとしてランドセルや運動着、ぬいぐるみ、さらにはスポーツ観戦やコンサートのチケットというような、お子さんの生活に必要なものや機会を届けてきました。

配送品は8割~9割、キャンペーン品はそのすべてを、多くの企業や団体のみなさんの寄付でまかなうことができました。皆さんからのご寄付によって、多くの世帯、ご家庭を助けることができています。
文京区のこども宅食事業は、いろんな団体がイコールパートナーとして力をあわせる形で運営しています。さらにご協力企業や団体の皆さん、またふるさと納税で応援してくださる方々など、本当にたくさんの皆さんのお力添えで成立しています。

2022年度は、2020年からの新型コロナウイルスの感染症拡大によって様々な影響が続く中、追い打ちをかけるように、物価高騰によってこども宅食の支援家庭はますます苦しい状況になりました。引き続き子どもたちの体験機会の提供に注力するとともに、追加支援として、通常配送に加えて増量便や臨時便、冷凍便など様々な支援を実施してきました。さらに、お子さんの年代やニーズに合わせた支援を目指し、高校生世帯へのお米の増量なども実施しました。

また、食品以外の様々な支援につなげることを目的に、2019年から配信しているLINEによる情報提供の量や質を強化し、LINEでの相談対応もおこなっています。
LINEで常につながれているということや、対面を含めた継続的な見守り支援によって心理的なハードルがさがるという強みを活かし、ご家庭の悩みに寄り添い社会資源につなげていくというトータル支援をおこっています。

 

文京区こども宅食プロジェクトにおける社会的インパクト・マネジメントの取り組み(日本ファンドレイジング協会常務理事 鴨崎貴泰)

続いて、文京区こども宅食の社会的インパクト評価を担当する日本ファンドレイジング協会 常務理事 鴨崎 貴泰より、文京区こども宅食プロジェクトにおける社会的インパクト・マネジメントの取り組みについてご報告させていただきました。

文京区こども宅食は、事業の効果や成果を可視化しながら、それをマネジメントに活かしていこうという考え方を用いて実施をしております。(社会的インパクトマネジメント)
これは、ご支援者の皆さんへの説明責任や事業改善を目的として、PDCAのすべてのステージで、社会的インパクトに着目しながら、その向上をめざしていくというマネジメントスタイルです。
文京区こども宅食では、ご利用世帯へのアンケートや日頃のコミュニケーションの情報などから成果を見て、評価をしております。

■PDCAのP(計画)について
利用世帯のアンケートからは、非常に厳しい経済的状況に、コロナ禍、物価高騰が拍車をかけているということが確認されます。また、心理的なハードルや情報不足などから一般的な支援が届きにくく、支援の利用に至らないといった現状が確認されています。
これに対しこども宅食は、アウトリーチ型の支援や定期的な見守り、情報の配信や状況に合わせた支援の実施などにより、効果的な支援ができていると評価させていただいております。

■PDCAのD(実行)について
全利用者世帯への宅食お届けに加え、臨時便や増量便など追加支援をおこなうことができました。またLINE等を活用した情報配信により、我々とご利用世帯との間で適切にコミュニケーションが生まれるということが実現されております。また、仮説検証により日々の活動をモニタリングし、事業改善と成果の確認を実施することで、適切に進捗管理をおこなっています。

■PDCAのC(評価)について
具体的な成果でいうと、やはり1番は食事内容の改善です。さらに心理的ストレスの減少というのも、非常に変化が見られる項目です。その他、買い物時間が節約できてお子さんと過ごす時間が増えたとか、食費が節約できたことにより必要なものが買えた、というような様々な声が寄せられています。また、ご利用世帯から助けを求めるようなお声も見られ、自発的な不安やご相談ごとをつなぐ場所としてこども宅食が認識され始めているのかなという成果が確認されています。

■PDCAのA(改善)について
このようにデータを収集しながら事業の成果を可視化し、戦略的に事業改善を実施しながら、多面的な分析を今後もおこなっていきます。
また、物価高騰などの影響で利用者世帯の増加は今後も想定されますので、財源の確保、そして、相談支援などの新たな取り組みも含めて具体的な支援をし続けていくという事業体制で臨みたいと思っております。

2022年度インパクトレポート

 

6年間を振り返って(認定NPO法人フローレンス会長 駒崎弘樹×日本ファンドレイジング協会常務理事 鴨崎貴泰)

鴨崎:我々は食品や日用品をお届けしているわけですけれども、ご利用家庭がアンケートに書いてくださった内容を拝見すると、親御さんやお子さんの心理的な支えにもなっているのかな、と嬉しく思います。
駒崎:いろいろありましたけれども、6年間続けて来られてよかったですね。
鴨崎:そうですね。やっぱりコレクティブインパクトモデルとして、いろいろなプレーヤーがいることの難しさとともにそのパワフルさというところで、大成功した事業じゃないかなと自分たちでも評価しています。続けていきたい事業の一つです。
駒崎:継続という意味では、今後も2ヶ月に1回の食品配送はやっていきたいと思いますし、あとはやっぱり情報提供ですね。相談を支援につなげていくということをやっていきたいです。こども宅食は全国に広がっているんですが、文京区はその一番最初をつくったところなので、この文京区の取り組みをみて支援の輪が広がっていくようなエンジンの役割を担えるといいな、と思いますね。
継続するにはみなさんの力が必要です。これまで通りでも嬉しいですし、体験機会の提供も検討していただけたら嬉しいです。ふるさと納税については今回は目標金額を達成できなかったというのがあるんですが、多くの方にこのふるさと納税の取り組みを知っていただけたらいいなと思います。

 

感謝状贈呈 (認定NPO法人キッズドア 渡辺 由美子)

6年間の振り返りと質疑応答の後は、文京区こども宅食の物流管理を担当する認定NPO法人キッズドア 代表理事 渡辺 由美子より寄付企業・団体の皆さんに感謝状を読み上げました。

コロナ禍が長引いている上に、2022年は物価高騰があり、困窮子育て家庭は非常に厳しい状況です。そんな中で2ヶ月に1回定期的に届くこども宅食は、子育て家庭には本当に心強いシステムだと思います。多くの方にご協力いただいてこのこども宅食というサービスができていることは本当にありがたいと思っております。心より感謝いたします。ぜひこれからも続けていただければと思っております。

感謝状贈呈の後はご支援いただいている企業・団体の皆さんからもお話をいただきました。その様子については<②ご支援企業・団体編>で追ってお届け予定です!

 

支援する人と支援される人がいるのではなく、誰もがときに支援を必要とし、ときに誰かの支えとなります。

食品や日用品などの配送品のご寄付や体験機会提供、ふるさと納税へのご協力など、様々な形でのご支援のほど、引き続きお願い致します。

私たちは、こども宅食をきっかけに、ご家庭とつながり、こどもの未来をつなぎます。こどもの未来をつむぐことは、わたしたちの未来をつむぐことではないでしょうか。

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