こども宅食2018年度成果報告 〜インパクト・レポートを公開しました〜

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2019.06.26

こども宅食事務局

こども宅食事務局が、こども宅食の歩みや、子どもの貧困についてのニュースをお届けします!

いつもこども宅食を応援していただき、心より感謝申し上げます。2017年のプロジェクト立ち上げから、多くの方のご支援により、550世帯以上の親子にこども宅食を届けることが出来ております。

このこども宅食では、事業開始当初から「社会的インパクト・マネジメント」の考え方を導入し事業を実施していることが、特徴の一つとなっています。

「社会的インパクト」とは、短期、長期の変化を含め、当該事業や活動の結果として生じた社会的、環境的なアウトカムのことであり、「社会的インパクト・マネジメント」とは、事業運営により得られた事業の社会的な効果や価値に関する情報にもとづいた事業改善や意思決定を行い、社会的インパクトの向上を志向するマネジメントのことを指す「社会的インパクト・マネジメント・ガイドラインVer.1」(2018年社会的インパクト評価イニシアチブ より引用)。
社会的インパクト・マネジメントとは

私たちは、

① 事業が生み出す「社会的価値」を「可視化」し、これを「検証」することで、寄付者等への説明責任を果たす

② 評価の実施により実施団体間で戦略と結果を共有し、事業・組織に対する理解を深めるなど組織の運営力の強化や事業活動の改善する

このような狙いを持って、「社会的インパクト・マネジメント」を行なっています。

この度、その一環として2018年度のこども宅食の「社会的インパクト評価」を取りまとめた、「インパクト・レポート」を公開いたしました。

まず、私たちは、ロジックモデル(事業や組織が最終的に目指す変化・効果の実現に向けた事業の設計図)を用いた事業実施により「計画通りのアウトプットが生み出されているか?」というプロセス管理と、ロジックモデル上に設定したアウトカムが実際に生み出されているかを利用者の方を対象に実施したアンケート等の分析結果を基に実施にしました。

(ロジックモデルは上図参照)

顕著な変化が見られたのは、「心理的ストレスの減少」と「可処分所得の向上(食費負担の軽減)」という項目においてです。

特に、「心理的ストレスの減少」においては、保護者の気持ちにはポジティブな変化が見られ、「気持ちが豊かになった」「社会とのつながりが感じられるようになった」を挙げる人が特に多くこども宅食の成果といえる、と考えています。

このように、こども宅食が生み出した社会的インパクトについて、50頁にわたるレポートを作成しました。ボリュームのある内容となっておりますが、ぜひご覧いただけますと幸いです。

  • 2018年度インパクトレポートの全文はこちらから(PDF/50頁)
  • 第3回アンケート票(継続世帯/解約世帯/新規世帯
  • また、アンケート内容については今後の支援につなげるための調査・分析を行いました。「こども宅食の対象世帯の生活実態と支援ニーズに関するアンケート」はこちらから(PDF/57頁)

今回、社会的インパクト評価を行うことで、事業内容はもちろん、評価項目、測定方法についても多くの改善点を明らかにすることができました。

アドバイザーを務めて頂いている首都大学東京教授・子ども・若者貧困研究センター長の阿部 彩さんからは、以下のような総評を頂きました。

こども宅食プロジェクトは、事業の成果をきちんと把握しようとしている日本の中でも貴重な団体です。近年、NPO等の団体が社会的な課題を、自分たちで資金を集めて、解決していこうという取り組みが注目を浴びています。しかし、どのような事業であっても、いったん事業を始めると社会的責任が生じます。

それは目的に賛同して資金協力してくれた市民に対する責任だけではありません。事業の対象となる人々に対しての責任でもあります。善意で始められる事業がすべてよい結果をもたらすわけではありません。「やること」が目的ではなく、「改善すること」が目的なのです。

評価をする。それは常に自身をクリティカルに見つめなおすことです。そこから、次の発展が生まれます。この姿勢をくずさない「こども宅食コンソーシアム」の活動に今後も大いに期待しています。

私たちは今後、改善点に真摯に向き合い、インパクト・マネジメントを志向する組織文化を醸成し、より良い事業となるよう努めます。また、この知見をこども宅食を始めたいと考えている人たちに伝えていきます。

引き続き、こども宅食プロジェクトを応援して頂けますようお願い致します。

いっしょに、親子の未来ををつないでいきましょう。

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