一冊の絵本に込められた想い。小さな絵本店がこども宅食に毎年寄付をする理由

こども宅食事務局

こども宅食事務局が、こども宅食の歩みや、子どもの貧困についてのニュースをお届けします!

子どもたちみんなが大好きな絵本。
子ども自身の語彙力・読解力・想像力を育みながら、親子の日々のコミュニケーションのきっかけともなる、育児には欠かせない存在です。

文京区で古本事業を営む株式会社ブギさんは、文京区こども宅食ご利用家庭に向けて、毎年クリスマスに絵本のご寄付をくださり、昨年末で3回目を迎えました。

絵本を受け取ったご家庭のみなさまからも温かいメッセージをいただいております。
一部感想をご紹介します(いただいたご感想を一部加工して掲載しております)

金銭的に何冊も購入する事は難しいので今回のプレゼントはとても嬉しかったです。本当にありがとうございました。

たった今子ども達と読み終えた所です。
おさがりとは思えないほどキレイな状態でびっくりしました。またお店も徒歩圏内にあることや、「えほんのさんたさん」からステキなメッセージがあったことで、近いうちにOSAGARI絵本のお店を訊ねてみようと話しています!

お姫様がホットケーキを作るお話でした。読み終わった後はホットケーキを作りたい!と張り切っていました。絵も可愛らしく、絵本の絵を真似てノートに描いていました。お気に入りの絵本になった様です。

「ひとりじゃないよ、いつでも話を聞くよってことを伝えられたら」と語る、街の小さな絵本店。3年にわたる取組みの裏には、秘められた信念がありました。
スタッフの伊藤みずほさんに、その想いをうかがいます。


ー 本日はよろしくお願いいたします!まずは、株式会社ブギさんの事業内容について、改めて教えて下さい。

主にふたつの事業があります。メインは「本棚お助け隊」で、古本の販売と買い取りをオンラインで行う事業です。もうひとつが「OSAGARI絵本」で、中古絵本や児童書など子ども関連の書籍を対面で直接販売しています。どちらも基本的にきれいにクリーニングしたものをお売りしています。

 

ー 文京区こども宅食ご利用家庭に毎年絵本を寄付してくださり、昨年で3回目でしたが、改めて、絵本を寄付してくださる理由を教えて下さい。
毎年こども宅食を通じてたくさんの人に喜んでいただけることが、本当に力になっているんです。継続することに大きな意義を感じています。わたしも社長の菅原も、人の役に立てることでむしろ自分たちが力をいただいていると感じていますが、それは宅食スタッフのみなさんも同じだと思っていて。同じ方向を向いた思いと思いが合わさると「1+1=2」以上になれるんじゃないか、他にももっとお役に立てることがあるんじゃないか、と思える力をいただいています。

 

ー ありがとうございます!そう言っていただけて、わたしたちも嬉しいですし力になります。
昨年はコロナ禍で大変だったと思いますが、ブギさんの取組や伊藤さんの周囲で、なにか例年と変化したことはありますか?

私が知るここ数年だけを見ても、文京区では子どもや親子の居場所づくりをしようとアクションを起こしている方がたくさんいらっしゃいます。地域に住む親子の中にも、おじいちゃんおばあちゃんや親戚といった血縁者が遠方にいる方は特に、身内以外に頼れる場所を求めていたと思うんです。そんな中、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、近所であっても高齢の親には頼りづらいといった状況に直面しました。そんな背景もあり、家族以外にも助け合いの輪を広げて、他人同士でも本音の付き合いができる関係が、より一層求められている気がします。

コロナ禍に関連して、昨年は自死の問題がクローズアップされることも多かったですが、これは決して他人事ではないと思いました。私自身、経営のことで迷いもあったし、一人の母親として煮詰まることもありました。ふだんは適当にストレスを発散できるほうですが、コロナ禍で行動が制限されている中、不安や苦しみをどこにも吐き出せず心の奥底に押し込む…そんな日が続きました。息子につらく当たってしまったこともありました。

でもあるとき、親しい友人やママ友からなぜか同じようなタイミングで、「いろいろため込んでない?」「雑務でもなんでも、できることあったらするよー」そんなメッセージが届いたんです。そこで、「実はちょっとしんどい。いや、だいぶしんどいかも…」そんな心のうちを吐き出すことができて、心が少しずつ軽くなっていきました。

だからこそ、大人が一人で子育てをされているご家庭など、誰かに頼れずひとりで抱え込んでしまうような状況も多いのではと考えていました。それで、今年度の絵本プレゼントでは、本一冊ではあるけれど「ひとりじゃないよ、ここにもいるよ」と伝えたい思いが一層強かったです。

 

ー わたしの個人的な話になるんですが、夫が転勤族で子どもが小さい時近所に親戚も友達もいなくて孤独を感じていたので、ブギさんみたいな方が近くにいてくれたらすごく救われたと思います。
文京区の方やお店のお客さんからの声で、コロナ禍でこれまでと変わったなと感じた部分はありますか?

人と人が直接触れ合うのは難しい時期ですが、会話など心の触れ合いのようなものを求めてお店にいらっしゃる方がより増えたように感じます。

店内の換気や消毒など感染対策はしているものの、入店を躊躇される方もいらっしゃるかと思い、外に間口を広げて軒下ガレージセールもしています。そうするとふらっと立ち寄ってくださる方と適度な距離を保ちながら、「こんにちは~」とご挨拶ができたりします。何回かご来店が重なるともっと会話に繋がっていくこともあるんですよ。

お客様からも、「この間買ったこの本を子どもがすごく気に入って。他にもおすすめありますか?」なんて言っていただけたりします。ちょっと誰かに子育ての不安や愚痴をこぼしたいなというときにも、「あの古本屋があるな」と頭の片隅にでも覚えておいていただけたらいいなと思っています。

 

ー 絵本って本当にたくさんあるから、我が子がどんな絵本を好むか探すのは結構難しいですよね。身近にそういうお話ができる場所があって、文京区の方が羨ましいです。
わたし自身、絵本のエキスパートではないんです。もともと出版社で語学書の編集者をしていたのですが、たまたま夫がこの仕事をしていて、そのサポートをするなかで絵本屋になったという経緯があります。自分なりに絵本や子どもの育ちについての勉強は続けていますが、絵本博士みたいな知識が急につくわけでもなく。その中で自分にできること、人のお役に立てることは何だろうと模索してきて、今は、私と息子が絵本とともに歩んできた日々の気付きから、私なりにお伝えできることがあるかなと思っています。また、目の前のお子さんのご様子から興味などを探り、おすすめすることもあります。

ただ、親御さんの好みもあるのでわたしに気を遣っていただかないように気をつけていますね。どの絵本がよいかとご相談をいただくときには何冊も棚からお出しして、あとはゆっくり選んでいただけるよう私は奥へ下がります。これはいらないかと思ったらそのまま置いておいてくださいね、というスタンスのお店なんだなと、お客さんにも感じていただけたら嬉しいです。

 

ー 子育てが孤独だな、って思われている方はまだまだ多いと思うので、そうした親御さんにもっとブギさんのような場所の存在を知ってもらい、足を運んで心の拠り所にしていただきたいですね。
例年絵本をプレゼントしたご家庭の方から感謝のメッセージをいただいていますが、そういったお声を受けての感想や思いを聞かせてください。

その方が頑張っていらっしゃる様子や日々の暮らし、お子さんとの時間がふわっとイメージできるようなメッセージをいただけて、本当にわたしたちが力をいただいています。

一方で、毎回「本当に喜んでいただけたかな。独りよがりになっていないかな」とも思うので、こうして実際に喜んでいただいた声を聞けると、とても励みになりますね。

でもさらに、次に繋がるような、さらにこういうのがあるといいな、というのがあれば参考になるので、どんどん率直な声を聞かせていただきたいです。

 

ー 今年もこども宅食と一緒に企画していく上でやってみたいことはありますか?

クリスマスに合わせて絵本をプレゼントするのも素晴らしいですし、店舗にご招待し、自分で好きな絵本を選ぶという体験もご提供できたらいいなと思いますね。プライバシーが守られる形でとなると難しい部分もあるかもしれませんが。そうでなくても、ただ気軽にフラっと遊びに来ていただけたらうれしいです。軒下ガレージセールも常にやっているので。

 

ー 先日お店をリニューアルされたんですよね?
知り合いの建築家の方に、「店舗を移転するんだけど、省スペースでも親子がゆったり絵本を読める居心地のいい空間ができないかな」と相談して設計してもらいました。コロナ禍なので「変化に柔軟に対応できること」もキーワードに。

出来上がったのは、全部バラバラにもできるソファーセットです。お天気のよい日には軒下に持って行けて、コーナーの本棚は、4つ合体させると丸テーブルにもなります。お客さんにワクワクしていただけるようなものになったと思います。小さいですけど座り心地にもこだわっていますよ。

子どもたちは迷わずこのソファに直行し、「これ俺の秘密基地だ、作った人天才だね!」って大絶賛してくれました。

 

ー 自由に組み替えられてすごいですね。楽しそう。継続してこども宅食と一緒に活動してくださるブギさんの熱い思いをお伺いできて、感謝の気持ちでいっぱいです。また、文京区の利用者さんにブギさんをもっと知っていただいて気軽に足を運んで欲しいと強く思いました。伊藤さんとお話しすることで子育ての悩みがスッキリしそうですし、それもまた親御さんの背中を押すことにつながると思います。
本日はありがとうございました。

(過去のインタビュー記事はこちら)
街の小さな絵本店が、こども宅食に寄付するわけ―「OSAGARI絵本」株式会社ブギ(2020年実施)
こども宅食の利用者さんに「おさがりの絵本」を届けた小さな絵本店の話(2019年実施)

 

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