「こども宅食」ってこども食堂と何が違うの?子どもの貧困をめぐる支援や取り組みを解説

こども宅食事務局

こども宅食事務局が、こども宅食の歩みや、子どもの貧困についてのニュースをお届けします!

文京区「こども宅食」は、文京区にお住まいの経済的に厳しいご家庭に、2ヶ月に1回食品などのお届けをきっかけに、ゆるやかにつながり、見守り、必要な支援につなげていく事業です。

…といつも冒頭でご紹介していますが、子どもの貧困をめぐる様々な支援活動がある中で、「こども宅食」は他の支援活動と何が違うのか、具体的にどんな活動をしているのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。

何を隠そう、筆者も本事業に関わるまで、あまりよくわかっていませんでした。子どもの相対的貧困や経済的に厳しい状況にあるご家庭の課題などは理解したつもりでいても、どこにどのように支援をすればよいのか、支援した先のみなさんは本当に喜んでくれるのか、自分にはどのような支援ができそうか―。よくわからないから、なんとなく何もしないまま…そんなかつての筆者のような方は他にもいらっしゃるかもしれません。

今回の記事では、”子どもの貧困支援”を目的とした取り組みの一部を取り上げ、それぞれの取り組みの特徴や違いとともに、「こども宅食」の具体的な活動や目的を解説していきます。

「子どもたちや親子の笑顔のためになにか支援をしたい」と考える読者のみなさんの思いにフィットする活動や支援方法を一緒に考えていきましょう。

そもそも「子どもの貧困」とは…?

日本で暮らしていると、生きるうえで必要最低限の衣食住などがままならない「絶対的貧困」を目にすることはあまり多くありません。しかし、周囲の生活水準と比較して収入や資産が少なく、生活が不安定な状態にあったり、何らかの我慢を強いられたりといった「相対的貧困」の状態にある子どもは、日本におよそ約9人に1人いると言われています。また、ひとり親世帯に限って言えば、実に2人に1人が相対的貧困にあるというデータもあります。
>>関連記事(2017年9月) https://kodomo-takushoku.jp/archives/118

国や自治体の支援制度もありますが、「生活に困っていることを知られたくない」という心情や、ご家庭の様々な事情により、自分から助けを求めにくい実態があり、そうした子どもたちには支援が届きにくい状況です。

こども宅食は、自分から助けを求めにくい状態にあるご家庭に、こちらから出張っていってコミュニケーションをはかることで、一見わかりにくいけれども相対的に困っていたり、我慢を強いられているご家庭やお子さんを支えたいという想いで東京都文京区からスタートしました。
>>関連記事(2017年9月) https://kodomo-takushoku.jp/archives/90

こども宅食って何をしてるの?

定期的な食品のお届けをきっかけに安心できるつながりを築き、困っている親子を適切な支援へとつなげていくこども宅食の取り組みは、2017年に始まり、現在では北海道から沖縄まで、全国に広がっています。

こども宅食の先駆けとなった文京区では、2ヶ月に1回、食品や日用品などを定期的にこちらからお届けし、対面やLINEなどによるコミュニケーションを通じて関係性を構築した上で、必要に応じて社会資源とつなぐことを目的としています。

<文京区こども宅食の仕組み>

企業からご寄付いただいた食品等の配送品をお届けするのはもちろんですが、それだけではなく、コンサートやスポーツ観戦などの体験機会を提供したり、ランドセルや絵本などをプレゼントするキャンペーンを実施したりしています。その他、社会情勢やご家庭の状況により、その時々に必要な支援を実施しながら、継続的にご家庭とつながり、困ったときに相談しやすい環境づくりを心がけることで、必要に応じて次の支援につなげることを目指しています。

また、文京区をはじめとした官民7団体がタッグを組んで運営していることも大きな特徴の一つです。文京区の自治体としての強みはもちろん、ファンドレイズ、配送・物流管理や評価推進など、それぞれの強みを活かしているからこそ適正な事業継続を実現しています。
>>関連記事(2018年12月) https://kodomo-takushoku.jp/archives/1494

「こども食堂」と「フードパントリー」の取り組み

子どもや家庭の相対的貧困を支援する取り組みとして、代表的なものに「こども食堂」や「フードパントリー」があります。

こども食堂は、子どもだけでも行ける無料またはごく低額な食堂のことで、地域の支援団体などの有志で運営され、ボランティアスタッフや食材の寄付などにより成り立っています。

お腹を空かせた子どもへの食事提供はもちろん、子どもだけでなく保護者や高齢者など、地域の多世代にとってあたたかな居場所となっていることが多いようです。中には食育などを含めたより幅広い情報提供や地域交流を目的にしているところもあり、目的や開催頻度はそれぞれの場所によって様々です。

2012年頃に発足したこども食堂ですが、11年で全国約9,000箇所以上に活動が広がっており、その需要は急速に高まっています。(※)

※参照:こども食堂の数、全国の公立中学校数とほぼ並ぶ「9,131箇所」に増加 ~2023年度こども食堂全国箇所数調査結果を発表~(2023年12月速報値)|むすびえ https://musubie.org/news/7995/

参照させていただいたむすびえさんのサイトでは、全国のこども食堂を検索できます。筆者も今回調べてみたところ、住んでいる地域に2箇所もこども食堂があることを知りました。
>>https://kodomoshokudo.gaccom.jp/

みなさんのお近くの地域にも、こども食堂を運営している場所があるかもしれません。ご興味のある方はぜひ探してみてください。

地域で寄付された食材をつかって調理した、温かいバランスのとれた食事を低価格でみんなと一緒に食べられるこども食堂は、普段寂しい思いをしている子どもやなかなか手作りのご飯を食べられないご家庭にとって、とても嬉しい取り組みですね。一方で、本当に支援が必要なご家庭が足を運んでくれているか分かりにくいという課題もあるようです。

もう一つ、相対的貧困の代表的な支援活動に、フードパントリー(※)があります。各家庭で余った食品を寄付するフードドライブ(※)や、企業や農家の生産過程で発生した規格外食材の寄付を受けたフードバンク(※)の運営団体が、必要とする家庭に無償で食品を配布する取り組みが、フードパントリーです。地域のボランティアスタッフや支援団体によって開催されることが多く、食品提供だけでなく、困りごとの相談窓口としてや情報提供の場としての役割を担うこともあります。

※以下の3つは混同されがちですが、主に以下のような意味の違いがあります。実際には、同じ意味合いで使われることもあります。

▶フードバンク…食品が集まってそれを配る場所、「バンク」の名の通り、銀行的な場所であり卸し問屋のような取り組みのこと。
▶フードドライブ…家庭で余ってしまった食品などを別で役立ててもらえるようフードバンクなどに提供すること。
▶フードパントリー…フードバンクなどからの食品提供を受けて、必要としている人に食品を配布する場所やその活動

まだまだおいしく食べられるのに余ってしまったり、パッケージの印字ミスなどの理由で廃棄処分になってしまう食品を、必要としている人に届けることができる素晴らしい取り組みですが、日本ではコロナ禍に大きな広がりを見せました。

緊急事態宣言等の影響で多くの飲食店や食品の卸業者が商品を廃棄せざるをない状況に追いやられ、一方で休校となった小中学校のお子さんが給食を食べられずに子どもだけで家にいる状況となり、廃棄処分となった食品を無償で子どもたちに提供したいという動きが生まれたという背景があります。

消費者庁によると、2023年現在、ご家庭からのフードドライブや企業からの寄付を受け付けるフードバンク団体は、日本国内で215団体あるといいますが、欧米に比べるとまだまだ理解や認知度が少ないようです。

※参照:全国フードバンク推進協議会
https://kankyo.shokusan.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/lossseminar20230403_6_2.pdf

自分に合った方法で子どもたちの未来を守る支援を

こども宅食、こども食堂、そしてフードパントリーの他にも、子どもやご家庭の相対的貧困に対する支援の取り組みには様々な活動があり、それぞれに特徴があります。

こども食堂は、居場所を通じたあたたかな人のつながりを感じられたり、ほっとする食事を食べられたりといった良さがありますし、フードパントリーは、食品ロスを活用できるというメリットもあります。

相対的貧困の支援活動では、本当に必要なご家庭になかなか支援を届けにくいという課題がありますが、こども宅食では、ご家庭に来ていただくのではなく、食品等のお届けをきっかけにこちらから出張って行ってコミュニケーションを取る点が大きな特徴です。「困っていることを周囲に知られたくない」などといった心情を慮り、配送員も通常の宅配便と変わらない声掛けやお届けを徹底し、配送用の箱にも特別な表記などは一切しないなどと細やかな配慮を行っています。

また、ご利用家庭とLINEで繋がっていることもこども宅食の強みです。窓口に出向いたり電話をしたりすることなく、LINEで雑談の延長線のような形で困りごとを相談したり情報を取得できたりすることは、忙しい子育て世帯にとって大きくハードルが下がるのではないでしょうか。

それぞれの活動の特徴や強みを知り、ご自分に合った形で支援の方法を考えていただけたら嬉しいです。

こども宅食はふるさと納税による寄付を原資として活動しています!

こども宅食事業を運営するためには、配送費、広告宣伝費、人件費などの資金が必要です。また、配送する食品の多くは企業の寄付によりますが、時期によってお届けする食品が不足する場合があります。そういった場合、活動資金をつかって事務局で食品を追加購入することがあります。

こうした活動資金にあてるため、全国からのふるさと納税で寄付を募集しています。みなさんのご寄付が、子どもたちや子育て家庭の力になります。今後も多くのご家庭にこども宅食をお届けするために、みなさんのご支援をよろしくお願いいたします。
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