体験の機会を「心の栄養」につなげたい
文京区こども宅食が7期目に提供した体験機会のご紹介
文京区にお住まいの経済的に厳しいご家庭に、2ヶ月に1回定期的に食用品や日用品などをお届けする「文京区こども宅食」。2017年にスタートしたこの取り組みでは、食品等の配送だけでなく、企業や団体の皆さんからのご支援により、子どもたちに体験の機会もお届けしています。
❏第7期に実施した体験機会について
2023年10月から2024年9月の1年間で、9回にわたり体験機会やお子さんの生活に必要なプレゼントを実施することができました。あらためまして、ご提供くださった企業や団体の皆さん、本当にありがとうございます。
(ランドセルプレゼント 実際にお送りした画像)
❏文京区こども宅食が体験の機会提供を行っている理由
なぜ、文京区こども宅食では体験の機会提供を行っているのでしょうか。
文部科学省は、体験活動が子どもたちにとってどのような影響を与えるのか、以下のように述べています。
体験活動は、豊かな人間性、自ら学び、自ら考える力などの生きる力の基盤、子どもの成長の糧としての役割が期待されている。具体的には、次のような点において効果があると考えられる。
①現実の世界や生活などへの興味・関心、意欲の向上
②問題発見や問題解決能力の育成
③思考や理解の基盤づくり
④教科等の「知」の総合化と実践化
⑤自己との出会いと成就感や自尊感情の獲得
⑥社会性や共に生きる力の育成
⑦豊かな人間性や価値観の形成
⑧基礎的な体力や心身の健康の保持増進
また、体験機会に恵まれた子どもは、自己肯定感や意欲の高い大人になるといった調査結果も公表されるなど、様々な体験活動が、子どもの成長にとって重要な役割を果たしていることがわかります。
しかしながら、各家庭の経済的理由により子どもの体験機会に格差が生じてしまうという現実もあります。
◆体験活動への参加状況
引用 子どもの「体験格差」実態調査 最終報告書 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
また上記調査によると、世帯年収が低いご家庭ほど、「経済的理由」で子どもがやってみたい体験をさせてあげられなかったと回答した割合が高いこともわかっています。
文京区こども宅食では、経済的な状況に関わらず、一人でも多くのお子さんに体験の機会を持っていただきたいという思いから、ご利用家庭の皆さんに体験の機会提供を継続して行っています。
>>>文京区こども宅食が大切にしている”体験”の機会提供とは
❏担当者が語る 体験機会を届けることへの思いとは
今回は、企業や団体の皆さんからの寄付を受け、体験機会のプレゼントやイベントを企画運営する事務局担当者に、体験機会をご利用家庭に届けることへの思いを聞きました。
モノの格差だけでなく、体験の格差も埋めていく
―利用者の皆さんへ体験の機会提供を実施するようになったのはいつ頃でしょうか、またどのような背景があったのでしょうか?
体験機会のプレゼント企画が本格的に開始されたのは、2020年からだと思います。その頃、日本でも新型コロナウィルス感染症が拡大し、様々なイベントや学校行事が中止になり、世間的にも、事務局内でも、子どもたちに体験機会の格差(体験格差)が生じてきているのではないかという話が挙がるようになりました。
一方で、企業や団体さんからイベントや催しのご案内をいただくことも多く、こども宅食利用者の皆さんにどうにかして繋げられないかという思いもあり、体験機会のプレゼントを実施するようになりました。背景には、モノの格差を埋めるだけでなく、コロナ禍を機に露呈した体験機会の格差も埋めていきたいという思いがありました。事業の目標の1つにも「保護者の余剰時間が増加し、親子でリフレッシュする時間が増える」を掲げていますので、親子で一緒の時間を持てるような情報や体験を提供していこうと、様々な企画を進めています。
―体験機会はどのような基準で選ばれていますか?
企業や団体さんからお話をいただいた内容を、親子で楽しめるか、お子さんに喜ばれるかを基準に、互いに相談しながら決めていきます。事務局としては、お子さんが参加可能か、募集から開催までのタイミング、無料のイベントか、そして比較的近隣での開催かという点などを意識しています。
―企業や団体さんが、体験機会を提供してくださる背景にはどのような思いがあるのでしょうか?
食品などの寄付も含め、体験機会をご提供くださる企業や団体の皆さんは、社会貢献活動を積極的に行うという会社としての方針の中で、「次世代を担う子どもたちを自分たちのできる方法で応援したい」という想いでご支援くださっています。
食品や日用品をお持ちの皆さんは、ご家庭に喜んでほしいとの思いから素敵な商品をご提供くださいますし、品物の取り扱いのない企業や団体の皆さんは関連したイベントなどの観覧チケットをご用意くださったり、資格を持った社員の方による講座を作ってくださっています。支援してくださる全ての皆さんが、何らか親子で楽しめる機会を届けたいという思いで工夫、調整いただいており、共に事業を創ってくださっています。
ご家庭からいただく感想をご報告すると、皆さん大変喜ばれ、事業理解を深めて、継続的にご支援いただくことにつながっています。
次世代を担う子どもたちがたくさんの体験を心の栄養にして育っていってほしいというのは、親御さんはもちろん、ご支援いただいている皆さん、こども宅食に関わる皆さんの共通の願いだと感じます。
>>>「文化芸術は生きていく力」こども宅食のご家庭を4公演にご招待した文京アカデミーの思い
>>>「親子の思い出を作ってほしい」大和証券グループがくれた「体験の場」のプレゼント
>>>ダイドーグループホールディングス×NSSA『踊育(だんいく)®』の一貫でオンランダンスレッスンを提供
(ダイドーグループホールディングス×NSSA『踊育(だんいく)®』オンラインダンスレッスンの様子)
心が動いた瞬間の積み重ねを明日への活力へ
ー体験機会を通じてお伝えしたいことはありますか?
多くの親御さんと同様、私も子どもにとっての体験の機会がとても大切だと思っています。その対象がイベントや人、物でも、何かに夢中になったり、工夫したり、うまくいかなかったり、感動したり・・・そうした体験がお子さんの心の栄養になり、成長につながると信じています。
一方で、必ずしも華やかな場所や大きなイベントに数多く行かなければならない、珍しい体験をたくさんさせなければならないということではないし、それができないという苦しい気持ちをもたなくてもいいと自分にも言い聞かせています。
たとえばお家の中で親子でおにぎりを作ったとか、お散歩で一緒にきれいな空を見たとか、そういった日常の経験もかけがえがないものだと思うのです。親子のなにげない会話や心が動いた瞬間の積み重ねが、明日もがんばろう!という活力になるのかなと。
利用者の皆さんには、文京区こども宅食が企業の皆さんと連携してお届けする体験機会のプレゼントを活用して、親子にとって思い出の1ページに、そして明日の活力にしていただけたら嬉しいです。
❏ご利用家庭からの感想
体験機会のプレゼントをご利用いただいた皆さんから感想をお寄せいただいておりますので、一部ご紹介します。(いただいたメッセージを一部加工して掲載しております)
支援してくださっている企業や団体さんの思いが積み重なり、子どもたちの明るい未来へと繋がっていきます。文京区こども宅食では、様々な企業や団体の皆さんから体験機会(イベント等の招待・チケットなど)の寄付も募集しております。皆さんからの温かいご支援をお待ちしております。
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今年は寄付目標金額の達成が非常に厳しい状況です!
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文京区こども宅食事業を運営するためには、配送費、広告宣伝費、人件費などの資金が必要です。こうした活動資金は、全国からのふるさと納税で寄付(ガバメントクラウドファンディング)を募集しています。お寄せいただいた寄付は、食品の配送に関わる費用だけでなく、プレゼント梱包および発送費、イベント当日の企画運営費や会場費、体験機会をご家庭へお届けするにあたっての人件費などにあてています。
2024年は7,146万円を目標にクラウドファンディングを行っていますが、まだまだ目標金額達成には遠い状況です(11/25時点の寄付目標額 達成率:約11%)。皆さんのご寄付が、子どもたちや子育て世帯の力になります。今後も多くのご家庭にこども宅食をお届けするため、皆さんのご支援をよろしくお願いいたします。
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